ここまでなんで私が外国人と暮らしたの?って???な人も多いと思いますので説明しますと・・・

あんまり知られていませんが、アーティストインレジデンスっていうのが世界各地にあるんです。奨学金付で、制作、滞在費などすべてサポートしたうえ、デビューのきっかけまで、っていうファーストクラスのものから、滞在を希望しさえすれば有料で、アパートみたいな感覚で住まわせてあげるよっていうのまで様々なんですが、多くの場合、同時期に各国から芸術家が集まって、シェアハウスみたいな共同生活をして、刺激しあいながら創作活動をする。
っていう場所です。

そこで今年5月まで私が生活を共にしたアーティストは入れ替わり立ち替わり

イタリア、アメリカ、カナダ、モロッコ、ウガンダ、スペイン、パレスティナ、トルコ、スーダン、シンガポール
10か国。13名。 

コラボしたのは現地に住んでいるルーマニア、メキシコ、スペイン人
私と同じ視覚芸術のほかに、建築、写真、音楽、パフォーマンス、文学と専門は様々。

作品鑑賞、あるいはワークショップに参加してくれた形で、上記のほかに
中国、台湾、フランス、チリ、ブラジル、エクアドルなどの人たちと出会いました。
普通に日本で生活していると一生会えそうにない国の人たちもたくさん。

だからせっかくスペインに初めて来て、初めて生活できるというのに、
英語ばっか使っててスペイン語はまったく上達してない。

でも、考えてみてください。

これだけいろいろな国の人たちが来ていたけど、自分の国の土着の言語を使っていない人ってメキシコ人とカナダ人だけなんだよ。
他の国の人はみんな自国語の他に英語を使っているんです。
英語ネイティブは少数派なんです。いくら国際語運動していたってさ、
スペイン語圏と中国語圏たしたら足元にも及ばない数の人しか使ってない言語なわけです。

ここ、忘れてる人多くないですか?

なんか、小学生から英語必修とか聞いてるとさ、
時代錯誤を感じちゃうんですよ。まだ言う?って。
だって、日本国内では日本語があれば十分な上、
世界では日本語を学んでいる人がどんどん増えています。
彼らは私たちと会ったらむしろ日本語を話したいのです。

それに、今では海外旅行だって、英語が通じない国にも簡単に行けちゃいます。むしろそういうところに行く人が増えて、この狂乱がおかしいって気づいてほしい。
だからといって、すべての国の言葉を覚える必要ないですよね。
旅行レベルなら、ジェスチャーだけだって大抵のことは通じるでしょ?
人間が根本的に必要としていることはどこの国の人だって同じ。

食べる。寝る。トイレ。

これができれば生きていられるわけ。とりあえず。
この「概念」を持たない「人間」ってあり得ます?
値段は数字かけば会話になるし、
駅や空港だって名前さえ書けばタクシーが連れてってくれます。
もうちょーっと複雑なことでも、ケータイでググるなり、指差し○○語の本使うなりで、なんとかなるじゃないですか。
そういう意味で、1週間程度の旅行をするだけのために国民全員が英語を修得する必要ないんですよ。
翻訳の機械だってどんどん良くなっちゃうんだから。

確かに前回書いたように文学を機械で訳すことはできません。
人間がやっても難しいものです。
だから芸術なんです。
だけど、それを国民全員ができる必要ないでしょう?

プロとして英語を使うには楽しいだけの英語じゃ話になりません。論文読み書きしたりビジネス文書やり取りできなきゃ意味ないんです。
その文書の文法がめちゃくちゃだったら信用してもらえないし。
だから学校はその入口を示さないといけないと思うんです。どの子が将来そういう本物を必要とするかわからないのだから。
だけど、必要がないとわかった人は深める必要はない。今までと一緒。

楽しく英語!とか話せる英語!
とか浮かれて規制の教育を批判している人がたくさんいるけど、
よく見れば、批判してる人って自分が苦手だった人じゃないのかな?
規制の教育で十分身に付けてしまった人なんていくらでもいるんです。
少なくとも私はたくさん会ってきました。
あんたネイティブか?なんでそこまでわかんねん?みたいな同級生ゴロゴロいました。

英語に限らず、苦手な人はどの教科でもいるじゃないですか。
なんで英語だけ騒ぐんだろうな、と思うんです。

英語が苦手でも、韓国語なら得意かもしれない。
同じ時間と労力を、他の言語なり、あるいは専門に向けた方が実り多くないですか?
(つづく)

書家・美術家 金子祥代 Kinkoちゃん随筆 
http://www.kinkochan.com/
長年古典で培った書の力をベースに世界各地で現代アートの世界を展開中

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