日本に生まれて日本で育つと自分は日本人である。

っていうアイデンティティを疑いなく持って
ご近所に対しても同級生に対しても
あなたも私もたどればみんな一組の日本人カップルなんじゃない?
くらいに思い込んでしまう雰囲気があります。
だからこそ
「みんなおんなじはず」
なのに
ちょっと違うと悪口を言われたり仲間外れにされたり
いじめられてしまったりしやすい。

逆に日本のテレビや雑誌を見ればこのご時世だというのに
ハーフだクオーターだというだけでもてはやされている人がたくさんいます。

でも、ハーフだとかクオーターだとかいった混血は
ヨーロッパや南北アメリカにはとても多く存在するので
父は〇〇の出身で母は△△の出身
というのが自己紹介の一部だったりします。

それでここ数年メキシコでもスペインでも
「あれやったことある?」
って何度も聞かれたのがDNAからのご先祖診断。
自分の中にどこの国の血が何パーセント入っているか教えてくれるテストです。
最近はYoutubeを見ているとやたらとこの診断キットの宣伝が流れる。

これのすごいところは口の中に綿棒みたいなのをつっこむだけでよい手軽さで
しかも「国」でわかるところ。
アングロサクソンですね、とかモンゴリアンですね、っていう程度じゃない。
「私は完全にアイルランド人だと信じてたけどイングランドの血が入ってるの〜???」
なんていうCMなんです。

いろんな国と地続きだったり植民地でいろいろ混ざっちゃたりといった国々で
確かにこれだけいろんなタイプの人が街に混在していれば興味が湧くのも理解できます。

だれでもおじいちゃんおばあちゃんの出身地くらいはわかってもそれ以上となると知らない人が多いですよね。

たとえばおじいちゃんとおばあちゃんがクオーター同士だったとしたら
それだけで自分の中には最大8か国の血が入っていることになります。
そんな感じで遡っていくと、人によっては相当意外な国のDNAが発見されるのだそうです。

そこで何が起きるか。

イスラムは許さないー!
とかカッカしているアメリカ人が、もし自分の祖先にアラブ人がいることがわかったら・・・?

あるいは喧嘩ばかりしているカップルがいたとして
「だからドイツ人男は嫌なのよ!理屈っぽくて」
「なんだよスペイン人はいい加減だなあ」
なんて何かというとお国柄のせいにしていたのに、実は自分の中にも相手の国の血が入っているとわかったら?

興味本位で調べる人が多いようではありますが、
やってみると意外に大きな収穫があるようです。

この診断ではないですが、先日
キンプリ(King& Prince)の岩橋 玄樹くんが
最近になっていとこに自分たちの「ひいひいおじいちゃんがスペイン人なんだよ」と教えられて

「みるみる世界が変わっちゃった」

と言っているのを見ました。
それまでまったくスペインになんて興味がなかったのに
サッカーのイニエスタ選手に急に親近感が湧くようになってしまったり
世界の見え方がガラッと変わってしまったのだそう。

それを聞いていたまわりの人たちはそろって
「まさか〜?」
という反応をしていました。
多分これが日本人らしい反応なんだろうなあと思います。

自分の中に他の国の血が入っているなんて思いもしないし
外国は外国。
って思っちゃってなかなかその国の人になったつもりを想像できない。

たしかに自分の中にいきなりヨーロッパやアフリカの血を想像するのは難しいかもしれません。
でも中国や韓国だったらどうでしょう。

下手したら1パーセントも混ざっていない人なんていないくらい混ざっているんじゃない?
これは日本国内だけではなくて中国でも韓国でも。

それがわかったら
ずーっと続いている小ぜりあいは姿を変えるのではないのかな?

まだまだ世界に戦争の火種はつきないけれど
ご先祖の国に戦争を仕掛けたいと思う人はなかなかいないでしょう。

もっともっと多くの人がこのテストをやってみたら
武器や政治の交渉ぬきで自然に平和が近づいたりしませんか?
なんて素敵な解決。

DNAのテストをしなくても想像すればわかることではあります。
診断キットが流行らなくても共感できる人が増えればそれでいい話なんだけれど・・・。

岩橋 玄樹くん!復帰したら伝道師になってくれんかね?

応援してますよ。

書家・美術家 金子祥代 Kinkoちゃん随筆 
http://www.kinkochan.com/
長年古典で培った書の力をベースに世界各地で現代アートの世界を展開中