せっかくスペインにいるのでビルバオのグッゲンハイム美術館に行きました。
abstract expressionism展が終わっちゃうのであわてて企画。
たしかに建物はすごいし展示もよかったんだけど、
もっとじっくり堪能できるかな〜と3泊にしたものの、グッゲンハイムは一日で十分だった。
むしろBilbao Fine Arts Museumの方が拾い物でした。

どっちの美術館でも結局一番目をひいたのはタピエス。
せっかくここまで来たのに。
タピエスは森田子龍とか比田井南谷とか、前衛書の歴史を勉強している流れで出てくるので名前は知っていたけど、価値をよくわかっていなかった。
さすがにスペインの人たちは誇りに思っていて、
しかもあっちこっちで作品に会える。
日本で紹介されているよりもいい作品がいっぱい。
これはとても得した気分です。
いっぱい見られるという点ではピカソもいっぱい見られるけど最近ピカソは飽きてしまった。
一時期ピカソのパワーに圧倒された時期があったけど、
最近はやっぱり抽象の良作の方が惹かれる。

抽象の話は置いといて、
具象でありパワーでありという点ではTAMAYOを知ってしまってからはこれを超えるパワフルはないし、
もうひとつの具象の雄(私にとってね)モディリアニの吸い込まれて時間が止まる感じはやっぱり他に類を見ないしこれらは飽きません。
おそらくはタマヨとモディリアニを同列で語る人もいないだろうし、好きな作家を二人あげるときに、これだけ違う個性を並べる人もなかなかいないと思うけど
それが私。

もう一人むしょうに楽しいのはアンリ・ルソーだけど、
3人ともスペインではなかなか作品に会えないのが残念です。

その点では3人とも出会いは日本でなので、地味に日本ってすごいね(笑)
一般大衆の芸術への理解度はとことん低いのに。

今日は西洋の彫刻を見ながら、むしょうに仏像が見たくなってしまった。
さらには狩野芳崖の悲母観音とかをなつかしがる私。

こういう奥深さとか芸術性とかは日本はすごいもの持ってると思うのよ。
すごい創作者はたくさんいるんです。今でも。
ただ、観る者がいないんです。
そりゃあゼロとは言わないけど、すそ野がない。
一般大衆とファインアートとの乖離が半端ない。
実に惜しい国なんです。
最近ではアートフェアとかコレクターとか流行ってるみたいな記事もみかけるけれども、
実態はまだまだ。
内容がかなり偏っているし、規模も小さいし。

ま、このあたりの鬱憤は書きだすと長くなるからいいや。

書家・美術家 金子祥代 Kinkoちゃん随筆 
http://www.kinkochan.com/
長年古典で培った書の力をベースに世界各地で現代アートの世界を展開中

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