小学校2年生のまゆなちゃん。

教室まで送ってきてくれたおかあさんが帰ろうとすると「ハハ〜」と呼ぶので、「ぽっかぽか」ですか?と聞くときょとんとしている。

おかあさんはマンガもドラマも見たことがないそうだ。

聞いてみると、おとうさんがまゆなちゃんに「父上」と呼んでもらいたかったのが始まりだそうで、長すぎて言えなかったので、そのまま「チチ」「ハハ」になってしまったのだそうです。

こんな話をしていたら、急におかあさんが淋しそうな顔をしてしてくれた話が

幼稚園。パーティで先生が「さあ、みんな、おかあさんにプレゼントを渡しましょう」という、よくある風景でのこと。
困った顔をしたまゆなちゃんは、お友達が「おかあさん」と呼んでいる人にプレゼントを持っていってしまいました。

「あの時は本当にさびしかったわぁ」
としみじみ語るおかあさん。
それを聞いたまゆなちゃんは、かわいい声で「ふぅん。そんなことがあったんだあ」と言いながらも、淡々とお道具を広げていました。

書家・美術家 金子祥代 Kinkoちゃん随筆 
http://www.kinkochan.com/
長年古典で培った書の力をベースに世界各地で現代アートの世界を展開中