今年の春はオランダで買ってきたチューリップの球根が全滅でがっかり。
前年はこれでもかっていうくらい元気に咲いたのに。
今は気をとりなおして植えたひまわりが今全開でベランダを眺めるのがちょっと楽しい。

去年の秋、日展の祝賀会で合宿で隣で書いていた先輩と初めてゆっくりお話した際
(そう。二人ともお互いに存在が気になっていながら書きまくっていて全然しゃべらなかったの。)
「金子さんて何やってるの?」
「よく聞かれるけど、何て言ったらいいのかなあ」
「教室とかはやってるんでしょ?」
「やってるんですけど、そろそろやめちゃおうと思ってまして」
「ええ??何で?」
「いやあ、空でも眺めて暮らしたいなあ、と思って〜」
「空かぁ〜。」

予想外、でもうらやましい。
そんな顔をされて、しばらくその方はパーティ会場の天井を眺めて空を思い描いている様子でしたが、その後
「いいなあ」

それから半年、実際に私が何回空を眺めたかは別として、生活をシンプルにした今年は結構シアワセが増えた気がする。
ひまわりの色を楽しむ時間もなんだか違う色をしているような。

西日本は関東東北のみなさんのように強制的に電気を切らされたりなんていうことはないんだけれど、ろうそくの灯りだけにしてぼんやりしてみたりもしている。

こんな予定のない時間って贅沢。

それで、だらだら一生つぶすのか??
いえいえ。
作品の線が変わったと思う。
すごく大事なものが加わったと思っています。
ある意味すごく地味な変化で気づかれることは少ないのかもしれないけれど、むしろそこに気づいてくれる誰かとの出会いは意味深いと思うし。
その日が楽しみ。

書道家 金子祥代 Kinkoちゃん随筆
http://www.kinkochan.com/
長年古典で培った書の力をベースに現代に通じるアートの世界を展開中