画材屋さんに行っていろいろ買ってきました。
やるぞー!と思って始めたらなんかいい感じ。
このまま個展出来るくらいバカバカ一気にできちゃいそう!
なんてウキウキしていたら床の修理だって。
はあ。
できないじゃん。
何でいつもやる気をだすとこうして何かおきるんでしょう。
まあ運が悪かった。
私が引っ越してくる直前に洗濯機の排水が壊れて溢れるトラブルがあった、といって、私が着いた時まで大家さんが工事の後の掃除をしていた。
それが実は済んでなかったんだなあ。
後から聞いたら下の階に漏れてるって指摘されて気づいた水トラブルだったそうで、それだけ床に滲みてたわけですよ。それを完全に乾かさずに表面だけ床を交換して、大家さんがキッチンだからよかれと思って防水マットを敷いちゃった。で、自然にさらしていれば少しずつかわいたんだろうけれども、マットでふさがれちゃったから床下の水が逃げられず、床板に滲み込んで床板が膨張して盛り上がってぱっくり床が口を開けちゃったんです。
はああああ。
床板めくれば黴だらけ。オーマイガー。
な〜んか最初からこのマットが嫌な感じしてたんだよなあ。
理由はわからなかったけど、なんか嫌で、上にバスタオル敷いてかくしていたんだ。体ってわかるんですねえ。
で、工事が始まったんだけど、台所の前をあれこれしてるからまともに料理できないし、黴もひどいしねえ。
換気扇まわしっぱなしだからうるさいし。
まあうんざり。
一回で終わる工事じゃないし。
下見に来てから今日で5回目。あと2回は必要らしい。
立ち会わないといけないからでかけられないし、不便きわまりない。
ただね、職人さんがいい人なのでよかったです。
最初はお願いしたら毎回靴を脱いであがってくれたし。脱いだからって言っても靴下もきれいじゃないので(2回目からはわきまえて外で脱いできちゃうし。)いいか悪いかわかんないけど(どうせ後で掃除しないといけないのは同じことで)まあ気持ちがうれしいです。
今日は機械を使うからということで靴のままですし、養生のビニールも私が用意ですが。
でもきっちり仕事はしてくれます。来る前には電話してから来るし、流しで手を洗って周りに水がはねればきれいに拭いてくれる。そういう人としての心得はきちんとしています。
このおじさんが特別すごいってことでもない気がする。
スペイン人は働かない、と日本ではイメージが定着していますが、根拠がないなあと思う。
逆によくやるなあ、と思うことの方が多いかな。
カフェなんか、外の席がいっぱいでも、天気がよければ「外がいいでしょ?」といって重い重いテーブルと椅子をほいっと運びだしちゃうし、テラス席なんて毎日せっせと出しちゃーしまってるんだけれども、いちいち重いんですよ。それを当たり前にやっちゃう。
工事なんかも結構朝早くからやってるし。だれがスペイン人は働かないって言い出したんだろう。日本の志のないバイトちゃんやパートさんに比べたらみんなよっぽどきちんと働いているがなあ。
マニュアルじゃなく臨機応変に。
工事の話にもどると、案外私は楽しく立ち会っています。
もともと職人さんが働いているところを見るのは大好き。
いろんな道具が出てきて、へ〜っと思ったり、あ、そこはそうやるんだ!と発見したり。
勉強になります。
今日も複雑にならんでいる木のタイルをカットするのはどうやるのかな?と思っていたら、いちいち物差しなんて使わないで、木のへりに糊をつけてうまいこと印してチャチャっとすすめちゃう。こういう現場の知恵って見ていて気持ちいいです。
あと2回、大掃除が待ってるけれども、そういうお勉強とスペイン語の練習の機会をもらえたと思って前向きにとらえております。
そういえば、カットしたときにでたおがくずでタイルの隙間を埋めているのを見て私が「なるほど〜」と喜んでいたら、
「日本には木材はあるのか?」
と聞かれました。
あるもなにも家そのものが木なんだけどね。
床だけじゃなくってよ!(お蝶婦人のアクセントですよ)
でも、そのくらい日本文化なんざ〜知られていないんだなあ。
ことあるごとに、スペインは遠い国なんだと感じさせられます。英語圏と交流しているだけで日本はずいぶん国際化した、と勘違いしている気がします。逆に、私は遠くに来てよかったな、と思います。
にしても、帰り際、次の日程を決めている時におじさんに
「理解はよくできてるけど、話すのが苦手だねえ」
と言われてしまいました。
はい、まだまだです。トホホ。
書家・美術家 金子祥代 Kinkoちゃん随筆
http://www.kinkochan.com/
長年古典で培った書の力をベースに世界各地で現代アートの世界を展開中
「おはなしコンサート」(童音社)復刊にご協力ください。