8月に入ってから、毎日気持ちよく墨をかぶっているKinkoです。
ゆうべの足の裏は黒光りして、今までの最高記録かもしれません。

今日は兵庫県立美術館に行ってきました。
今は常設展のみですが、プチ企画で、杉浦隆夫の「みんな手探り」というのをやっています。

発砲スチロールに潜っているブロンズ像を、手探りで鑑賞しよう、というものです。

行くまでどんなのかわからなかったんだけど、白いサラサラのプールの前を通りかかると「いかがですか。希望される場合はお申し込みをお願いします」と誘われました。

一人だしな、困っちゃうかな、なんて考えていると、おんなじように一人で来た女の人が二人それぞれに鑑賞しているではないか。

変な光景だけど、すいてるからこそよね、と申し込みました。
みんなで盛り上がるのもいいけど、一人でじっくり遊ぶ方が楽しいもの。

触るのは美術館所蔵のちゃんとした本物なので、傷つけないために指輪まではずします。
で、マスクまでさせられて、手をきれいに拭いて下さい、とウェットティッシュを渡されました。

う、爪を見られたか、と一瞬ドキリ。この黒い爪を見たら断られそうです。

うん。きっとあのロダンには私の墨がついてるな。
ずっと未来に科学鑑定とかすることになったら、「ロダンが墨を使用していた」だなんて大発見になってるかもしれない。ふふふふ。

さて、靴を脱いでいよいよスチロールのプールへ。

あったかい。
こまか〜いスチロールのつぶつぶが気持ちいい。
最初は新品の黒いスカートがこなこなになりそうな気がしてちょっとまくっていたりもしたんだけど、奥の人を見るとおへその上まで埋まってる。気にせず入ることにしました。

実際、企画の意図とは違って、手で彫刻を鑑賞する、というのには無理がありました。目の悪い人が鑑賞する気分を味わえるということでしたが、つぶつぶが邪魔をして、なかなかブロンズの生の形がとらえられません。

でも、スチロールに埋まること自体がなんか楽しい。

誰も見てなかったら横になって手足をのばしたかったよ〜。
仕方なく、出る間際にズポっと胸までつかってがまんしました。んでも、そんだけでも気持ちよかったです。すごくお笑い芸人になりたくなった一瞬。バラエティとか、ね。これしかやりたくないけど。

静か〜な中でサワ、サワっと動いてく体験、おすすめです。
あ、でも、服の中にまでつぶつぶが入ることだけは覚悟。随分丁寧に払ったつもりだったけど、家で着替える時にいっぱい出てきました。

書家・美術家 金子祥代 Kinkoちゃん随筆 
http://www.kinkochan.com/
長年古典で培った書の力をベースに世界各地で現代アートの世界を展開中