3歳の宗クンが書いてきた字は実にさまざまです。
闘魂 宇宙銀河系 徳田 郵便局 世界の平和・・・
もちろん、お手本を見てそっくりに書く、なんてことは今は求めません。
ここまでの「書きたい」っていう気持ちは持たせたくてもそうそう生まれないので、お母さんとも相談しながら、大切に小さな芽を見守っています。
2歳までのノートには、もっと見たままのきれいな字を書いていたのに、最近形は気にしなくなった。とのことなのですが、次から次からあふれ出てしまうので、今は思うままに大きかったり長かったりしながら紙におさめてきます。
複雑な漢字ほど燃えるらしいのですが、なんとか紙に入れてきます。
でも、何がすごいかって、筆の握りを教えていないのに、誰よりも自然に扱っていること。
筆ってこうやって使うために作られているんだなあ、と自分の身をふりかえってしまいます。上手く見せようなんていう邪な気持ちがないと、こんなにも自然に筆は動くのかと。
さすがに3歳なので、30分に一回くらいぐずります。
「紙が(袋から)出にくい〜」とキレそうになったり。でも、紙が出て書ける状態になると、にこっと収まりますが。そうこうして2時間くらい教室にいることもあるのも驚きですが、そうしてたくさん書きまくった後、「今日はそろそろ終わりにしようか。片付けようね」というと、最後のぐずりが。
「もっと書きたい〜(叫)!!」
この時は本当に「ただの赤ん坊」の本気のぐずり。お母さんの洋服をひっぱって今にも泣かんばかりの本気を見せます。
で、折れたおかあさんに言われて、先生のもとへ近寄り
「もっと書いてもいいですか」と小さい声ながらきっちりお願い。
「いいですよ。でも、何枚か約束しましょうね」と言うと。
会心の笑みを浮かべて走って戻って書き始めます。
こんなに書きたいって言う気持ちを一生のうちに持つことができるだろうか。
実に大切な出会いをさせてもらったなぁと感謝してしまうこの頃です。
「三つ子の魂百まで」
この子にもきっと何かが残るでしょう。
でも、この三つの子が私に残してくれたものはとても大きい。
宗クンのやりたい気持ちをかなえてくれているお母さんに感謝。右と左を反対にはいても、右と左に違う色の靴を履いても怒らず、稽古中も黒子に徹しているお母さん。
よく私たちの教室をみつけてくれました。(つづく)