引っ越しから1か月。
ようやく「日常」を取り戻した感じ。

1年ぶりに仮名の臨書をして実感。

まだまだ近所のどこに何があるか完全に把握したわけじゃないけれども、
建物の入口の鍵を開ける時には「ただいま」って思う。

・・・なんてホッしていたら、
昨日は前触れもなく断水・・・

気づいてから1時間半くらいたってからさすがにやばい気がして
大家さんに聞いてみたら、日曜だし、案内もなかったから突然のトラブルだろうとのこと。
「私はさっそく水買ってきたから料理の分くらいなら分けてあげるわよ。
でも、なんだか配ってるみたい。」
とのこと。

ベランダから外を見ると、
たしかに次のブロックの角で工事をしている。
行ってみたら確かにずらっと5Lのペットボトル。
聞いてみたらあと20分で終わるって言われたけれど、
時間に関しては完全に信用できる土地柄ではないので
今後の「まさか」に備えて4本もらってやった。

にしても、大家さんを始め、近所の人たちがちっとも慌ててないし文句も言ってないのがすごいなと思う。

しかも、日本で断水って言ったって水なんて配ってくれないもんね。
この辺の気配りの問題もあるのかな?

で、とりあえずの水は確保したけど、
家にいて無駄に水を使ったり気を揉んだりしていても仕方ないので
散歩に出ることにした。

しばらくうろうろして、そろそろ帰ろうかなあと思った時、
土産物屋さんが目に入ったので立ち寄った。

このところ、きれいな便箋を探していたのだけれどもみつからないので、
いっそ絵葉書買っておこう。
と何枚か購入。

すると、店員さんが
「切手は要らない?」
という。

世界どこでも1.25ユーロ。
と言って、絵葉書と同じようなマドリッドの写真の切手を出してみせるので、
まあついでだし、
と3枚購入。

さっそく今日3枚の絵葉書と切手のない封書を持って郵便局へ行ってきた。

そしたらだよ。

「これだめ。送れない」
と言って、貼っておいた切手のきれいな景色の上に別の切手をベタッと貼るではないか??

マジか・・・

で、あらためて1枚当たり1.35ユーロ支払うはめに。

何これ。

なんか土産物屋で、このポストで送れる、みたいなこと言って
店内のそれこそ土産物みたいな小さいポストを指さしてたけど
普通のポストじゃダメとは言ってなかったし。

そのポストに入れる特別ななんかがあるわけ?メール便みたいな。

う〜ん。怪しい。
そのポストに入れても送ってもらえる気がしない。

これはやられたとしか思えない。

こんな詐欺があんの?

確かに旅人だったらハガキ一枚のために飛行機に乗って文句言いに来ないもんね。

うわああああああ。

大金ではないにしても後味悪い。

スペインではみなさんの親切に心温まることばかりなのに。
なんということだ。

ただね。
この土産物屋はスペイン人の経営じゃないのよ。

そういうわけで、スペイン人に騙されたんじゃない、っていうのだけが救いかな。

たしかに、あのポストに投函すれば送れた特別な切手なのかもしれない可能性は残っているけど、
やっぱ気分悪い出来事でした。

(追記)
この記事を書いてから2か月たちました。
イースターを前ににぎわっている町でまさに観光地のマイヨール広場のあたりを散歩していたら、同じようなポストがお土産物屋さんの前に出ているのをみかけました。
2か所。
そのポストにはinternational postって書いてあった。
・・・だからそういうシステムがあるのかもしれない。本当に。
なんでもかんでも疑ってかかるのはいけないなあ。
とか言って、疑うなら最初の切手をすすめられた時に疑わないとね。
勘がにぶってたなあ。
せめてつっこんだ質問くらいはするのに、まともな時なら。
いかん いかん
気を引き締めねば。

書家・美術家 金子祥代 Kinkoちゃん随筆 
http://www.kinkochan.com/
長年古典で培った書の力をベースに世界各地で現代アートの世界を展開中

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