4 インテリア

私が初めてテレビ出演したのは韓国です。CMでも有名な大手英会話学校の西日本代表として、韓国での英会話のコンテストに招待されたときのことです。

行ってビックリ。

ケーブルテレビではありますが、大会の模様がすべて
韓国全土に放送されました。

優勝するとアメリカ短期留学という副賞つきで、韓国では有名らしく、その日のために新調した服を着て参加するといった気合いのいれようです。

「出るのが夢だった」

と言う若者たちが何年も準備して選抜されているのです。レベルも高く立派な大会でした。

そんな大会とも知らず、旅行気分で、のほほんと参加した私が入賞するはずもなく、韓国全土にかっこ悪い姿を放送されてしまいました。

この大会では、ステージにNHKの外国語講座に出てくるスキットの時のようなセットが用意されていて、ネイティブの先生と対話して、その出来を競います。
ただし、どの先生と当たるか、先生と何を話すかは、セットに入るまでわかりません。
そこで渡されたメモに個別の場面設定とテーマが与えられていて、一分くらい考えたら話を切り出します。
先生がどう反応するかもすべてアドリブ。
こまかい文法のテストを受けたりするわけではないので、力のない私にはむしろ好ましいタイプの競争だと思ったのですが・・・。

テーマのメモを見て頭が真っ白になりました。

「ここはインテリアコーディネーターの事務所です。あなたは、依頼していたインテリアの仕上がりに満足していません。」

インテリアってナンだろう?

転勤族の真っ最中だった私はいつでも引っ越せるよう、インテリアに興味を持つことを避けていました。
そもそも「インテリア」という言葉が何を意味するのかすら、いまひとつピンとこないくらいに興味がありませんでした。
何について話したらいいのか、全くイメージが湧かない。
開始の合図が鳴ったのに空白の時間ができてしまって先生にうながされる始末でした。その後のむりやりな会話といったら・・・今思い出しても冷や汗がでます。

それから10年たち、マンションを購入して初めてきちんとインテリアについて考えるようになりました。
壁を塗ったり、アンティーク家具を探したり
少しずつ空間を好きな世界に近づけています。

もしかすると、他の人より楽しんでいるかもしれません。

そして今、どうして私は、あの時、書の話ができなかったんだろうと悔やまれるのです。
当時、我が家の壁を彩っていたものは額に入った師匠の作品だけだったのですから。

書の話だったらネイティブの先生が知らないことを色々話せたのに。
たくさん質問してもらえたのに。

今はもちろん、玄関や床の間に、季節ごと、あるいは気分で、いろいろな掛け軸や額を飾って楽しんでいます。
気分を奮い立たせたいときにはこの軸、しっとり落ち着きたいからこの軸といった具合に。

ひとつインテリアを変えただけで、すごく新鮮な気分になれます。

インテリアと考えたとき、書はいろいろな可能性を持っていて
何ができるかなあ、何を書こう、どう飾ろう
と、楽しみはつきません。

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【Kinkoちゃん随筆】 書家・美術家 金子祥代 https://www.kinkochan.com/
長年古典で培った書の力をベースに世界各地で現代アートの世界を展開中
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