アンチエイジングという言葉が大流行です。
かくいう私も人の子。少しでも若くありたいと、パックをしたり、人並みに悪あがきをしています・・・。
でも、老いることって悪いことばかりなんでしょうか。
あるとき、初めて出た合宿で、高齢の先生が私の書いているところを通りかかって、反故の切れ端に「こうだよ」と一文字書いてくださいました。
その字の若くて生き生きと力強かったこと。
うまいとかなんとかいう表現ではなくて「やられたーっ!」と頭にガツンときました。
実力は追いつかなくても若さと元気だけは負けないと思っていた自信なんてどこかへ吹き飛び
今まで若さと思っていたものは
一体何なんだったのだろう と土台から揺すぶられました。
今でもあの感動は忘れられません。もちろん、ただの高齢者ではなくて、研鑽を積んだ一流の先生で、先生と言葉を交わせるようなご縁ができたのは、それからさらに何年もたってからという立派な先生だからこそなのは言うまでもありませんが。
好きな作家の展覧会、特に物故作家の展覧会で、その人の若いときから晩年までの作品がずらりと並ぶことがあります。
ある時、大好きな日本画家の作品が年代順に並べられているのを見ていてハッとしました。
60歳を越えたくらいの作品が一番若々しく、それからどんどん自由になっていくように感じたからです。
なんだか一般的にイメージされている「老い」とは全く反対の印象です。
その境地にあこがれを感じました。
私もこんな風になれるんだろうか。なりたい。と。
まだまだそんなに素晴しい作品は書けませんが
自分の人生を思ってみると今が一番楽しい。
20代の頃、こんな思いで今の年齢を生きていることは想像もできませんでした。
でも、あの頃の私より、今の私の方が毎日を楽しんでいるし
ちょっと短くなったのに、未来への希望も何倍も持っているのです。
これはどういうことでしょう。
自由だからだと思います。
それは、お金がたくさんあるとか、義務や責任がないとか言うことではありません。
心の自由です。
女だからこうしなくては、とか、もう何歳だからこれは無理とか、こんなことしたら笑われる、とか、20代の私が怖がっていたものが、今の私には全然ないのです。
これは年をとった開き直りと笑う人もいるかもしれないけれど、開き直りというのではない。
気にしないのではなくて、そんな考えが浮かんで来ないのですから。
それは、怖がっていたものが、実はどんなに実体のない、いい加減なものかがわかったからで、年を重ねたからこその経験則です。
今は、この先の自分がどうなっているのか楽しみでワクワクしています。
「年をとる」ということを怖がることはストレスです。
毎日の色が変わってしまいます。
そんなことより今をちょっとでも楽しみましょう。
楽しいのだったらアンチエイジングの何かだって毎日のイベントのひとつです。
どうしてもピンと来ない方は、元気な年上の方と一日でも早く出会えることをお祈りします。
百聞は一見にしかず。エネルギーや希望をいっぱいくれるはずです。
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