14 手紙

最近便箋を買う時に困ることが多いです。

小さかったり、封筒に対して便箋の枚数が少なすぎたり。
だから、気に入ったデザインのものをすっきり買うことはほとんどできません。

パソコンの手紙が増えたということなのでしょうか。
でも、次々と新しいデザインがお店の棚を飾ると言うことは根強いファンもいるということなのでしょう。

手紙の魅力は、ひとつには封筒ひとつとっても、便箋ひとつとっても、インクの色から封緘、切手に至るまで、出す人の好みが表せるということでしょうか。

人となりが出てしまうということかもしれませんが、いずれにしても、ひとつとして同じ手紙はありません。

ポストを開けたときにチラっと見えたハガキの柄だけでパッと心が明るくなったことはありませんか?
疲れて帰ったからだの重さを忘れさせてくれるような一瞬が。

それにもまして最大の魅力は手書きの文字ですよね。
同じ人からでも急いでいたり、ゆっくりよく考えながら書いているなとわかったり、色々な姿が見えてきます。

手書きは嫌だからメールで済ませてしまう、という声もよく聞きます。
書道教室に通う人ですら多いのです。
それはみなさん「字が下手だから」という自信のなさからおっしゃいます。

「下手だから先生には出しにくいです」と言われることもあってとても残念に思います。

でも正直なところ、そういう意味では私自身も自分の字を見てがっかりすることが今でも度々。
まったく他人事ではありません。
なんだか自分という人間の悪いところを全部見せつけられているような気がするほどです。

ところがです。

手紙をいただいた時にはうれしい発見をすることばかりなのです。
これは本当に不思議なことですが、
初めて手紙をいただいた時に「あの方はこういう字を書かれるのか」と意外に思うことがけっこうあります。しかもそれはたいていうれしい発見なのです。

私は人一倍文字に何かを感じる方かもしれませんが
そこにネガティブなものを見ることはなく、その人の知らなかったよさに気づかされることが圧倒的に多いのです。

だから、下手だからと思い込んで手紙を出さないのはもったいないと思うのです。

そんな気持ちで気にしながら書いていること自体とってもかわいいと思いませんか?
上手いか下手かを気にするなら練習をすれば誰でも上手になることができます。これは自信を持って断言します。でも、ものすごく練習して同じお手本の字をいくら完璧に写すことができるようになった人ばかりの字を並べても、やっぱりどこか違いがでてしまうのです。

それがその人であり、個性ですよね。

上手いとか下手なんて気にせずに手紙を書いてみませんか。
メールみたいにすぐ返信がきたりしません。
メールよりたくさん時間がかかります。
力が入って手も痛くなるかもしれません。

でも、前に会った時の顔など思い浮かべながら、ゆっくり丁寧に書いてみましょう。
丁寧にたたんで丁寧に封をして。
それだけでも幸せな気分になると思います。

忙しい方こそ、ちょっと贅沢な時間を作ってみてはいかがでしょうか。

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【Kinkoちゃん随筆】 書家・美術家 金子祥代 https://www.kinkochan.com/
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