22 聞く

前回占いについてお話しましたが、私が意外だ、と言われることのひとつに占いがあります。

実際、以前の私は、そんなもの、と真剣に見たことはありませんでした。

しばらく前、お世話になっているギャラリーに立ち寄った時のこと。
急に訪れたために店主がお休みで、同じ店舗の一角で占いをしている占い師さんが留守番をいたので、しばらくおしゃべりをして時間をつぶしたことがありました。
帰り際に「よかったら(占い)やる?」と聞いてくれましたが
すかさず「あなたは要らなさそうね。」と笑って送りだされました。
若さゆえの自信というか傲慢さが顔に出ていたのかもしれませんが、私も占いなんぞにたよるタイプではないことに太鼓判を押されたような気になって、うれしく思ったくらいです。

でもその後。
家を買い換えようと迷っていた時に、たまたま夫の同僚の間で、大阪のとある占いの館が評判になっていました。そこで半分は興味本位で半分観光がてら行ってみることにしました。
ずらっと並んでいる占いの館の中で、評判通りここだけ行列になっていました。

家のこと以外にも、指摘のひとつひとつがうなずけることばかり。
とりわけ「今の家を買った時期はご主人の運気でいうと一番買ってはいけないときでした。こういうことが起きたでしょう?」の後に続けられたことごとが恐ろしくあたっており、「今度は一ヶ月以内にこの方角なら奥さんの運気がいいので転居するなら今」と言われて現在の家に住んでいます。

私たちの周りにはちょうど家を買おうとしている人や家族の問題を抱える人が多かったので評判が評判を呼び、会社からもさらにそこへ行く人が続き、私も何人か紹介しましたが、ちょっとおもしろいことが起きました。

素直に聞いて即行動に出た人と、答に憤慨して帰ってくる人の2つのグループにはっきり分かれたのです。

素直に行動に出た人たちは、私たちも含め、今まで占いをやったことがない人たちでした。
憤慨する人たちは今までにもいくつか同じ相談を他でもしていた人たちです。

結果どうなったかと言えば、素直に聞いた人たちは問題が解決しましたが、憤慨して答に従わずに自分の答を通した人たちについては、失敗のうわさばかり聞こえてきました。

それはどういうことだったのでしょう。後日答が出た気がしました。

数年後、別の占い師さんと話していた時
「まさか私が信じるなんて今でも驚きなんですけど・・・でも実際助かったし」というと

「普段自分で考えて行動している人の方が聞くのよ。そういうものなの。」と言われました。

いつも責任を背負っている人のほうが、よいことも悪いことも素直に耳を傾けて考える材料にするし、自分の外によりどころがあることに救われる。

しかし、人に頼っていることが多い人は、悩みと言っても自分で答を出す気がないから、実は聞いているようでも本気で聞いていないのだそうです。
そういう人の方が気楽に何軒も回っては気に入った答だけ拾ってただ楽しんでいると。

その通りでした。
憤慨していたグループの人たちがその時もらった答は、周りの人たちが客観的に見る限りではみんなが納得できる内容だったのです。
本人が言われたかった答と違っていただけなのでした。
それで結局答を無視して・・・。
失敗を誰のせいにするのかは知りません。ただ、占いがいいか悪いか、それとは別のお話。

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