キトでのステージ終わりました。

いやあこれで2時間ドラマ作れるよ
しかもフジテレビじゃなくて往年のテレ朝土曜ワイド劇場なみのドロドロね
みたいな怒涛の1週間でした。

え?そーなの?
え?そーいうことだったの?
え?まじここ?

これは外国でのお約束。
楽ではないけどずいぶんと免疫がついてきました。

ゲーノージンじゃなくっても、たまにこんなステージをやる機会なんかをいただくもんですから、漫画に出てくるようなドロドロした舞台裏を垣間見ることも何度かありました。

それでもだ。

まさかさ。
まさかね。
この私がだ。
ドラッグ疑惑をかけられる日が来るなんて・・・。


ある朝Kinkoはベッドの中にいた。

出演当日というのにその朝私は練習に出席しないことになっていた。

なぜなら共演者が練習に追いついていなかったから。

ダンサーなのに「食べすぎちゃった。おなかいっぱーい。今踊れなーい」って。
練習しないのに「ここ演出変えたいんだけどお」と会うたび変更したがる・・・。
その結果、貴重なリハーサル時間と稽古場を彼女の自主練にあてなければならなくなったのだ。

せっかくだからしっかり寝ておこうと思ってちょっと遅くまで布団に入っていた私。

すると。

しきりに電話がかかってくる。
知らない番号なので出ないでいると今度は部屋のドアが乱暴にたたかれ始めた。

気持ち悪いけど
寝室が地下になっているメゾネット式の部屋なので入口が遠い。
パジャマのまま入り口まで行く気にもならないので布団にもぐったまま様子をうかがっていると
なんと鍵が開けられる音が。

誰かが入ってきたようす。
息を殺してようすをうかがっていると、しばらくしてドアが閉まる音がした。

出ていったのだ。でも本当に出ていったかわからないから上に上がらず、そのまま地下の寝室にこもっていた。

1時間くらいすると、またドアが乱暴にたたかれ始めた。

前回より激しい。

また鍵が開けられる音がした。そして今度は5人くらいの足音が入ってきた。

ひえええええ。
怖すぎるぅ!

すると階段の上からいつものメイドさんが顔をのぞかせた。
知っている顔なのでホッとはしたけど、彼女は私がいるのを確認するとすぐ戻っていってしまった。

すると後ろから主催者の一人が現れて階段を降りてきた。

なんで?

呆然としていると「なんか飲んだの?」と聞く。

唐突すぎて何がなんだかわからない。

ここ2、3日風邪ひいた人にたくさん会ったから寝る前に風邪薬を飲んでいた私。

「ああ、風邪薬なら飲みました」と答える。

すると主催者は
「どうして稽古場に来ないの?」
と言い出した。

いやいやなんでやねん?なんで主催者が人の部屋に押し入ってそんな話?

私の頭は「???」はてなマークでいっぱい。

すると「みんな心配しているのよ。何やってるのステージ前なのに。私にできることはない?」とかなんとか

わけがわからない。チーム内に問題はあっても主催者にたのむことじゃないから
「何もないですよ」
と回答。
この問答がしばらく続いてようやく主催者が出て行った。上の部屋で聞き耳を立てていたホテルの人たちも含め全員部屋を出て行った。
一人に戻ったけど茫然。椅子に座り込んでしまった。

でまた1時間かそこらたったらドアが叩かれ始めた。

終わったんじゃないのお?

うんざりしていたら、今度は外から
「お願い出てきて」と問題の共演者の声・・・。その後ろから大勢の声がガヤガヤ。
「いるんでしょ?声を聞かせて」
とか芝居がかったセリフをいくつか勝手に叫んだあと、彼女は「あ、私ワークショップに行かなきゃ。今は出てこなくていいわ。ゆっくり休んでね。また後で来るから」と去っていった。

夕方になって、いい加減出演時間が近づいてきたのに彼女とは連絡がとれない。
仕方がないので全体の稽古ができないまま私は他のメンバーと準備開始。

しかーし!

夜になってようやくわかりました。

今朝主催者が私に「何か飲んだの?」と聞いた何かとはドラッグの意味だったのです。
問題の共演者が主催者に
「Kinkoが部屋から出てこない。どうも薬をやっているようだ。昏睡しているかもしれない」
と吹き込んだのでした。

それで主催者はまず私に電話をかけまくったけど出ないので、とうとう部屋に勝手に入るなんていう強硬手段に出たのです。運悪くその日はホテルのオーナーがお休みでフロントが簡単に説得されてしまって。

わかんなーい!
私がドラッグやってることにしてなんの得があるのーーー!?!

でも、彼女にはあったのです。
私を心配している姿を周りに見せ「出演が間に合わないからどうぞ一日のばしてください」と我々の出演を千秋楽に変えさせたのです。しかも出演直前に。

理由は・・・自分の準備が間に合わないから。

部屋に来た主催者はとっくに私がドラッグなんかやっていないのをわかっていたけれど、結局我々日本人メンバーがだしに使われて出演日変更を実現されてしまいました。

おかげでフェスティバルのスケジュール担当者には出演当日ひどい態度を取られるわ
その他にもとんでもない目に会いました。

それにだいたい出演日勝手に変えるなんてどうしてくれるんだ。
在エクアドル日本大使館までが宣伝してくれたのに。
赤道連れてってくれたおばちゃまだって友達連れて見に来てくれてたのよ!!!
ほかにも私を見に来てた人たちがいたのに!!!!!!!

しかーし。
Kinkoの心には火がついてしまいました。
けじめはステージで見せてやる!
主役が誰だか教えてあげるわよ!!!

気分は乙部のりえVS姫川あゆみ(笑)

私がこういう気持ちになることってないんですけどねえ。
今までは共演者に感謝しかなかったもの。
本当のプロって企画の段階から稽古の時から本番までいつも「さすが」って思わせてくれて一緒にやれることが幸せ。って思ってましたから。

とにかくいい仕事をするしかない。
とにかく魂込めました。


ステージ終了後Kinkoの周りには人だかり!
記念撮影の順番待ちです。
順番がまわってこないお客さんが声をかけ始めたのはもう一人の日本人。墨係もやってくれたダンサーNORIHIKOくん。初共演だったけどスカイプで何度もじっくり話し合って、現地では食事時間けずって一緒に練習してくれました。
チームジャパン万歳!
キトのみなさんありがとー!お客さんには伝わるのね。

お客さんが落ち着いてきたら今度は主催者トップが駆け寄ってきてツーショット。
そこからカメラマン、会場係・・・
こんな光景は1週間のフェスティバル中我々だけでした。
しかもまだこの日のステージは続いていたのに。

南米の小国のフェスティバルに芸術大国から参加したたった一人の青い目をした金髪の白人。問題の共演者は今回、自分がスターに違いないとタカをくくっていたのです。
なのに終わってみればこのありさま。
彼女はすっかりふてくされていたけれど、撮影会が落ち着いたころ
「記念にみんなで撮りましょう」って声をかけたら渾身の笑顔でうつっていました・・・。

で。
またまた「タイトル間違ってねーか疑惑」が湧いてそうなんですが・・・

間違ってないんですよ。
ニッキに支えられたんですよ。
毎日体力の限界やってて聞けなかったんだけどようやく出演直前に聞けたわけ。
先々週のニッキのラジオ。
聞けたわけっていうか敢えて聞いたと言ったほうが正しい。
リンクは教えていただいていたのに聞けなかったのだけど、あまりの混乱に敢えて日常(=少年隊)に触れて平常心に帰ろうと思ったの。

そしたらさ。
「結婚?おれか?」
「いやいやゴーストですから」
ってほんまもんのプロのサービス精神を見せられて、
でもって3種聞き比べて同じ材料をこうも違って料理するかと感心したりしてねえ。
もちろん聞き手としては浜村淳圧勝です。
ベテランなのに一番準備してる。知識から何からもひっくるめてニッキとニッキの作品の価値を高めるトークでしたね。プロ!!!

武田和歌子のほうも同年代からのアプローチでそれなりによかったですけどね。

ニッキ自身も、いつものおちゃらけに磨きがかかっているだけでなく、演出家としての発言がさらにしっかりいいものになっていて聞きごたえがありました。

そういうプロたちのエスプリを吸収したおかげで正攻法を貫けた。

本物には力がある。だから感謝なのです。

ニッキありがとー!!!
おまけにまた「ぼくら3人は」って言ってくれてありがとー。

この度のニッキのたて続けのラジオ出演は錦織一清演出舞台「蘭〜緒方洪庵 浪華の事件帳〜」の大阪公演の宣伝のため。楽しいお芝居みたいですね〜。
私が祈らなくても成功すると思いますが祈ってます。

で、話をもどすと、今回の国際ダンスフェスティバル出演チームの中ではやはり私の大好きなメキシコからの代表2チームとスペインからの男女ペアが圧倒的に実力、演出ともによかったです。これは好きだからよく見えたのではなくて「よいから好き」なのだと信じています。

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サンマルコス祭(メキシコ)出演の時のビデオを見てくれてるメキシコチームの若者たち。このさわやかなかわゆい子たちがいじめをテーマにした壮絶な作品を見せてくれました。実力も含めてすごかった。
さすがメキシコ。

本日の話題のステージ映像はこちら次の記事へつづく☆

書家・美術家 金子祥代 Kinkoちゃん随筆 
http://www.kinkochan.com/
長年古典で培った書の力をベースに世界各地で現代アートの世界を展開中