先日のミーティングでおや?と思った光景がありました。

生まれはフィンランド
育ちはスウェーデンという
金髪に青い目の、絵にかいたようなガイジンさんが
突然椅子の上で正座を始めたのです。

最近では正座のできない日本人も多いですし
脚の形が悪くなるからしたくないとか
足が短くなったのは正座のせいだとか
とかく評判の悪い正座です。

「膝が悪いから正座はちょっと」
と、
お茶の席や法事などでも年配の方までが敬遠なさるようになりました。

ところが
彼女に聞いてみると
数年前に

膝を痛めたので

「ストレッチのためにやりなさい」
と、医者にすすめられたと言うのです。

私自身も最近正座生活を始めました。
彼女に影響されたわけではなく、数年前からです。

10年程前に人生で一番痛かったと思われる激痛=ぎっくり腰を体験して
いろいろ調べた時に
和の生活をしていた頃の日本人には縁のないものだったことがわかりました。

腰痛は腰を使いすぎてなるのではなくて硬い股関節が引き起こします。
我々は生活の中で股関節を上手に使って柔らかく保っていたので、
今のように石を投げれば腰痛持ちにあたるなんていうことはなかったのです。

私の場合、悪い医者にあたってしまって、処置が悪く、腰痛後にすっかり筋肉が落ちてしまったため
日常生活すら苦しい時期がありました。

大変ではありましたが

何をすると大変なのか
何が必要なのか

そんなことに気づく機会にはなりました。

しゃがんで立つだけで息切れがするような体験をして
下半身の筋肉がどんなに大事かも知りました。
股関節が固いと筋力だけに頼るのでもっときつく感じます。

話が飛びますが
私が子供の頃はまだ「巨人の星」が繰り返し放送されていて
うさぎ跳びはトレーニングの象徴でした。
野球部だけでなく、どこの部でも見かける光景でした。

同時に
少しずつ問題視され始めた頃でもあります。

今思えば、私たちの世代ですら
ずいぶん西洋式の生活になっていたので
既に「しゃがむ」ことに慣れていない子供が増えていたのではないでしょうか。

だから、うさぎ跳びが悪、というよりは

「うさぎ跳びをすれば強くなる」
と昔のまま要求する指導者と

昔の子と同じように体を使えない子供との間に
ギャップが生まれていたのではないのかな?
と思うのです。

「うさぎ跳びをしたらケガをした」
と声を上げた人が増えたから禁止になりましたが、やった人全員に体の異常がでたかどうかは調査されていないのではないでしょうか。

話を戻すと、正座についても片側だけから見た極論?が流布しちゃった気がします。

私自身は祖父母と同居の家に生まれたので
いわゆる
「お茶の間に卓袱台」の生活から人生が始まり
世間の流れにのっかってリビングにソファという
「トレンディ」な生活様式をゲットしました。

でも、ひと通りやってみて
帰ってきたのが正座生活。
こじんまりとしたお茶の間にちっさい卓袱台を置いて回りには座布団。

自然に下半身の柔軟性と筋肉が鍛えられるなあ、と思ってやっています。

この先の人生、少しでもたくさん創作したいので
床での作業が長くたくさんできるように少しずつの訓練です。

訓練のはずが、気分も楽なので一石二鳥です。
理屈よりなにより落ち着く〜。

日本人は正座していたから足が短いっていうのも眉唾に思えてきました。

だって、正座なんてしない韓国人や中国人、はたまた西洋人でも
似たような体形の人をとてもよく見かけますよお。

逆に昭和の日本の銀幕のスターたちなんてびっくりするほど脚が長いけど、
あの時代に一切正座せずに育った人たちってことはないでしょう?

それに胴が長いのは肉食よりも消化が大変で長い腸が必要だったからと聞いたこともあるけれど?
(そう考えると今「私ベチタリアン!ビーガン!」なんて悦に入っている西洋人も、続けていたら孫の代あたりで胴が長くなるんじゃないの??)


日本人があっさり日本を捨てていく。

何か問題が起きると
「西洋ではこんなことやりませんよ。日本だけですよ」
って大声で騒ぐ人が出てきて
みんながどどーっと批判し始めてやめちゃうっていうやつ。

そういうの、もういいんじゃないかしら。

西洋って何?
テレビのコメンテーターってアメリカのことをちょっと引っ張ってきて騒いでいるだけですよね。
下手するとそのアメリカですら主流でないことまで「西洋全体」みたいに言うもんね。
戦後70年だよお。まだやる?

ま、
他の人はともかく
私はちゃんと考えて選ぼうと思います。
そして
これからは
正座なのだ!

西洋のお医者さんもすすめてるってさ(笑)

書家・美術家 金子祥代 Kinkoちゃん随筆 
http://www.kinkochan.com/
長年古典で培った書の力をベースに世界各地で現代アートの世界を展開中

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