そう、ここでタイトルに戻るけど、

国際語って英語じゃないです。

英語はひとつの道具だけれども、それを持っていても何でもできる道具じゃありません。

和歌の訳の時にも少し書きましたが、英語はできるのに、本人の経験不足で意味がわからなくて適切な表現が浮かばない、ということだってあるんです。
英語の特性で訳せなかった、みたいなことを書きましたけれども、
たーーーーくさんの英語話者にあたってみれば、マシな訳も出てくるだろうし、実はピンポイントの単語が存在するのかもしれない。

でも、それは英語を使う人が、もとの言葉をきっちり理解できないことには始まらない話なんです。

訳の例をあげると「インクの魔法」のスペイン語訳をしてくれた男の子も、何か所か誤訳をしました。
翻訳力はかなり高いセミプロなんだけど。

その誤訳を指摘してくれたのはアダルト〜なお姉さま。

誤訳を指摘されても彼は最後まで理解できなかった。

つまり、訳する技術の問題ではなくて、
大人の男女の心の機微がまだ理解できてないっていう話だったんです。
もう26歳なんだけど・・・


恋愛経験に限らないですよね。

先日も、賃貸契約書の一部が理解できなかったので、コピー屋さんでプリントして、コピー屋さん(英語が上手なおじさん)にちょっと教えて。ってお願いしたところ、ちょうど私の前にいた「私英語できます」っていう女の子が「どれどれ」と目を通した後ヒステリックに叫びだしました。
「こういう法律のことは弁護士に聞くべきよ!弁護士に聞きなさい弁護士!」

うそ〜。たった数行のために弁護士に何万も払うんかい〜。
はっきし言ってGoogleの珍妙な訳でもだいたいのことはわかってんだぜ、私にだって。

その後、手のあいたコピー屋さんに見せると、
「ああ、ちょっとした法律用語があって君にはわかりにくいと思うけど、一般的な契約書だから心配ないよ。『・・・・・・』って感じのこと言ってる。不法滞在とかしなければなんも関係ない話」

とのこと。
念のため契約当日に大家さんのお嬢さんにも聞いてみると、やはりいたってシンプルな内容でした。
「英語できます」ちゃんは契約書っていうものに触れた経験がなかったので専門用語に過剰反応ってだけのことだったんです。

英語ができるくせに意味がわかんない人の話が続きましたが
逆もしかり。

たとえば、ミュージシャン同士だったら言葉がわからなくてもセッションできちゃうし、スポーツ選手たちが海外で一緒にプレーできちゃうのも、語学以前にルールを知ってるからです。

私の場合にしても、もし私の英語が今より数段うまくても
「ピカソって誰?」
なんて感じだったらおしまいじゃん?もう同業者に相手にされません。

逆に価値がわかる者同士なら、ちょっとくらい拙いいいまわしでも共感しあえるわけです。

国際語っていうのは「教養」なんだ!!

あるいは、そんな専門分野の話じゃなくたって、
こないだ私が鍵があけられなくて締め出された時にはスペイン語しかわからない人たちに助けてもらいました。
その人たちの人柄。人間力のおかげです。

だからねえ。
英語の授業時間増やすくらいなら、

箸がちゃんと持てる子を増やしましょう。

きれいな日本語を話せる子を増やしましょう。

いっくら英語が話せたって、そんなことすらできない日本人には値打ちを感じてもらえないんです。

英語話せる「だけ」の人なんて世界中にごろごろいるんだから。

で、まずは人として受け入れてもらえた上で、共通の話題で盛り上がる。

この順番じゃないんですか?

書家・美術家 金子祥代 Kinkoちゃん随筆 
http://www.kinkochan.com/
長年古典で培った書の力をベースに世界各地で現代アートの世界を展開中

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